醸造所訪問2003年6・7月
カールスミューレ醸造所
エルベン・フォン・ボイルヴィッツ醸造所
Weingut Karlsmuehle (Mertesdorf/Ruwer)
Weingut Erben von Beulwitz (Mertesdorf/Ruwer)


メルテスドルフ村の近隣にはルーヴァーを代表する醸造所があつまっている
ルーヴァー川をはさんで山側にカルトホイザーホフとフォン・ボイルヴィッツ。谷側にフォン・シュ
ーベルトとカールスミューレ。お互い、スープが冷めない距離といってもいいほど近くにある。こ
のうち、カルトホイザーホフとフォン・シューベルトは、醸造所に隣接した畑を単独所有してい
て、そこからの収穫だけでワインを造っている点で、ボルドーのシャトーと似ている。一方、フォ
ン・ボイルヴィッツとカールスミューレは点在する複数の畑の収穫を用いている点で、ブルゴー
ニュ型の醸造所と言えるかもしれない。2003年版ゴー・ミヨの評価では、カルトホイザーホフ、カ
ールスミューレ、フォン・シューベルトが4つ房、フォン・ボイルヴィッツが3つ房。知名度の点で
はボルドー型の醸造所が一歩リードしているが、ワインの味はいずれも甲乙つけがたい。

先日、カールスミューレとフォン・ボイルヴィッツの新酒試飲会に行ってきた。カタログ的なデー
タだけをとってみれば、共通する点が多いことに気がつく。どちらもリースリングが9割を占め、
主にステンレスタンクで発酵を行い、必要に応じて純粋培養酵母を投入する。葡萄畑の所有
面積こそボイルヴィッツの5.4haに対して90年代に積極的に畑を買い足していったカールスミュ
ーレは12haと2倍以上だが、ヘクタールあたりの平均収穫量はどちらも55hl前後である(2001
年産はボイルヴィッツ58hl, カールスミューレ52hl)。また、両醸造所ともホテルとレストランを経
営している。だが、ワインはそれぞれ異なる個性を持っている。


1.カールスミューレ醸造所 http://www.weingut-karlsmuehle.de)


醸造所の名前の由来となっている『カール大帝の水車』の遺跡は、実は存在しない。
文献と地質学的な分析から、このあたりに当時トリアーで用いられた石材を切削するのに用い
られた水車があったはずであるという推定に基づいている。

この醸造所のワインに初めて惹きつけられたのは、1998年産カーゼラー・ニッシェンのリースリ
ング・シュペートレーゼだった。その年は11月中旬にアイスワインが収穫できたほど、早い時
期に寒波が訪れた。そのせいか、シュペートレーゼなのにアイスワインのような香りがほのか
に漂い、キレの良い酸味にフレッシュなハーブの香りが生き生きと香りたつ、一度飲んだら忘
れられない素晴らしいワインだった。

以来、毎年この醸造所の新酒がリリースされるのを楽しみにしてい
る。2002年産の新酒の案内が5月に送られてきた。封を切って開く
と、「2002年産・『エロティックな味わい 100% Gaumenerotik Pur』」と
いうタイトルが目を引く。「エロティックな」という表現は、この醸造所
のオーナーで造り手であるペーター・ガイベン氏が、1999年産ローレ
ンツホーファーのシュペートレーゼを、ドイツの人気ワインジャーナリ
ストであるシュトゥワート・ピゴット氏に表現したことがエッセイに書か
れてから定番となった、ここのワインに対する一種の賛辞である。
「このワインを飲むと」---とガイベン氏は語ったそうだ---「背筋がぞ
くぞくするんだ。ちょうど美女が僕の背中を、人差し指で上から下へ
なぞっているような感じかな。」

僕は残念ながら、彼のワインをエロティックと感じたことはないけれ
ど、魅力的であることは間違いない。さながらサテンのドレスをまと
った細身の美女とでもいうべきか。
(オーナーのペーター・ガイベン氏)
2002年産は2001年産にも増して見事な出来栄えである。8月から9月にかけて収穫前のセレ
クションを行い、雨がちだった10月には、晴れ間を縫うようにして、乾いた房だけを選んでこま
めに収穫作業を行った。しかし、ガイベン氏はワイン造りの苦労を進んで語るタイプではない。
質問してもルーヴァーなまりの早口で聞き取りづらく、その答えもストレートではなく、ひねりが
きいている。
「なんでこんなにワインの出来がいいかって?そいつは、みんなで歌いながら仕事したから
さ!」
なるほど、わかったような、わからないような。見かけはちょび髭をはやした太り気味の中年親
父で、そんな凄い醸造家とも見えないのだけれど(失礼)、彼のワインはその実力を雄弁に語
っている。

・試飲ノート

2002 Lorenzhoefer Riesling Kabinett trocken
明確な香りに柑橘とはちみつのヒント。グレープフルーツの甘皮の苦味、ミネラルと酸が凛々しい。非常に魅力的な
辛口。☆☆☆

2002 Lorenzhoefer Riesling QbA trocken (1 Liter)
ほんのりレモンの香り、ややスリムなボディにレモンの酸味。☆☆

2002 Molaris L. Riesling QbA trocken
"Molaris Lapidis" - 石臼−は、この醸造所の裏手にある、ローマ時代の遺跡にちなんでいる。複数の畑のワインの
ブレンドで、柑橘のやや明確な香りに、輪郭のはっきりとしたバランスの良いQbA辛口。☆☆+

2002 Lorenzhofer Riesling alte Reben QbA trocken
フレッシュなグレープフルーツのヒントのある香りはくっきりとして、濃厚で複雑、グルタミン酸系のうまみを感じる。イ
ンパクトのある個性的な辛口。☆☆☆

2002 Lorenzhofer Riesling Spaetlese trocken
明確で広がりのある香りにグレープフルーツのヒント、濃いめで複雑、バランスの良いエレガントな、ややミネラルが強い辛口。☆☆+

2002 Lorenzhofer Riesling Auslese trocken 
伝統的なフーダーで熟成させたワイン。ややひかえめながら広がりと奥行きのある香りに蜂蜜と完熟した柑橘のヒント、濃厚で複雑、完熟したフルーツとボディのたっぷり感、しっかりしたミネラルが溶け込んでいる。素晴らしい辛口。☆☆☆+

2002 Rivaner Classic
素直で新鮮なフルーツ香、わりと濃い目、フルーツ感はたっぷり、甘み酸味ともになだらか、やや大人しくまとまっている。☆☆

2002 Kaseler Nies'chen Riesling Kabinett feinherb
少し酵母の香りが漂う、出来立てのフレッシュな香り、口当たりは軽いがフルーツ感にミネラルもたっぷり詰まっている。☆☆+

2002 Lorenzhofer Riesling QbA feinherb
微発泡。明確な香りにフレッシュな香草にグレープフルーツのヒント、ややシンプルだがたっぷりとしたフルーツ感に、ミネラルがしっかり詰まっている。☆☆+

2002 Molaris L. Riesling QbA feinherb
微発泡。やや閉じ気味の香り。どこか日本酒をおもわせる風味、やや濃い目でミネラルもしっかり。酸味はおさえぎみ。☆☆+
(ガイベン氏の右腕として活躍している女性醸造家のウェルスさん)

2002 Kaseler Kehrnagel Riesling Spaetlese feinherb
濃いめでしっかり、カールスミューレらしいミネラルと苦味。ややふつう。☆☆+

2002 Lorenzhofer Maeuerchen Riesling Kabinett
しっかりして堂々とした香りにグレープフルーツのヒント。濃いめでバランスがよく、完成度が高い。普通の醸造所なら
シュペートレーゼ。☆☆+

2002 Kaseler Nies'chen Riesling Kabinett
明確で複雑な香りにミネラル、グレープフルーツのヒント。完熟したフルーツがたっぷり、濃厚、ミネラルと酸がボディ
を引き締めている。非常に魅力的。☆☆☆

2002 Lorenzhoefer Riesling QbA (1 Liter)
軽めの香りにグレープフルーツのヒント。フルーツ感の前に出た、そこそこ濃厚かつ複雑でバランスもいい、上出来の
日常消費用ワイン。☆☆+

2002 Kaseler Nies'chen Riesling Spaetlese
明確で複雑な広がりのある繊細な香りに蜂蜜とグレープフルーツのヒント、濃いめで複雑、完熟したフルーツ感、ミネ
ラルのアフタが長い。充実した甘口。☆☆☆

2002 Lorenzhoefer Riesling Spaetlese
明確で複雑な香りに完熟したグレープフルーツ、蜂蜜、赤いベリー。濃厚で複雑な甘みのエッセンスのようなワイン。
完熟した柑橘、蜂蜜、ミネラルのアフタ。☆☆☆

2002 Kaseler Nies'chen Riesling Auslese lange Goldkapsel
ピュアなエッセンス的香り、濃厚、甘酸もぎっしり詰まった、ピュアな甘みのエッセンス、複雑、長いアフタ。極上のア
ウスレーゼ。☆☆☆☆

2002 Lorenzhoefer Riesling Auslese lange Goldkapsel
香草にフレッシュバター、蜂蜜、赤いベリーの香り。非常に濃厚、複雑、完熟したオレンジのエッセンスにハーブのヒ
ント、長いアフタ。ニュアンスに富んでいる。☆☆☆+

2002 Lorenzhofer Riesling Eiswein
ふんぷんと香りたつ典型的なアイスワインらしい、クリーンでフレッシュ、ストレートな甘い香り。非常に濃厚で凝縮さ
れたフルーツのエッセンスのかたまり、非常に長いアフタ。☆☆☆☆

2002 Lorenzhoefer Riesling Eiswein ***
瓶に残っている残量がすくなすぎて、あまりよく試飲できなかったが、まだ閉じているのか、それほど印象的ではな
い。これから開いてくるのかもしれないが。(同行した友人はこれを何杯もおかわりしたという。まったく、もう。)
☆☆☆




2.エルベン・フォン・ボイルヴィッツ醸造所(http://www.von-beulwitz.de)



この醸造所を知る前、ルーヴァーで一日を過ごす場合問題だったのが、昼食であった。マクド
ナルドもコンビニもガソリンスタンドも無い田舎で、ワイン居酒屋は夕方からしか開かない。食
後すぐの試飲は味覚が鈍っているので避けたほうが良い、とは言われているが、僕の経験か
らすると、空腹時の試飲は満腹時の試飲よりもはるかにつらい。遠くの試飲会に参加するとき
は昼食をとる時間とお金を節約するため、カロリーメイトを齧って空腹感を誤魔化したりもする
が、出来ることなら気の利いた軽い食事が出来れば申し分ない。

フォン・ボイルヴィッツ醸造所が兼業する、年中無休でシーズンオフも通して営業しているホテ
ル・ヴァイスのレストランを知ってからは、この問題は解消した。たまに昼食をとりに行くと、大
抵他に誰もお客さんがいない。それでもきちんと料理らしい料理が出てくるのは、少し不思議な
感じがするくらいだ。夜は居酒屋となるコーナーがあり、地元の常連でけっこう賑わっている。
ルーヴァーのオアシスと言ってよい場所である。

そのオアシスで飲めるのは、もちろんこの醸造所のワインである。グラス売りは200ccで8種類
ほどしかないが、ボトルならば貴腐ワイン、競売に出品されたワイン、70年代の古酒など、そ
の選択肢は広く、ワインの質も申し分ない。夜は大抵オーナーのヘルベルト・ヴァイス氏がお客
さんと世間話に興じている。

彼が19世紀以来の伝統を持つこの醸造所の経営を引き継いだのは、1982年のことだ。1990
年から現在のホテル−葡萄畑を背景に立つ白い箱のようにも見える−の地下に醸造施設を
移し、1995年以降ゴー・ミヨなどワインジャーリズムでの評価は着実に上昇を続けてきた。その
成功をもたらしたのは、ヴァイス氏の頑固一徹な気質とともに、モーゼル中流のワイン村デッツ
ェムの醸造家シュテファン・ラウエン氏との友情であろう。1999年まではラウエン氏がケラーマ
イスターを勤めていたのだが、別に雇用契約を結んでいた訳ではなく、「友情ベースで」ワイン
造りを引き受けていたそうである。やがて2000年産からはヴァイス氏がケラーマイスターもこな
すようになり、ラウエン氏はボイルヴィッツ醸造所の仕事から一切退き、ヴァイス氏との共同作
業は終わりを告げた。この期間にヴァイス氏が十分に醸造技術のノウハウを身につけたこと
は、2000年産以降のワインの出来の素晴らしさによく現れている。

ヴァイス氏は僕の印象では、ちょっととっつきにくいところが
ある。ドイツ人にしては小柄で、お客さんを相手にしている
時は別だが、たいてい難しい顔をしている。醸造所を訪問す
るための予約を入れようとして電話しても、午前中は大抵畑
に出ていてつかまらない。居酒屋で顔をあわせて目が合っ
ても、お互い軽くうなずくだけである。そんな気難しい彼を支
えているのが、奥さんのメヒチルドさんだ。同じルーヴァーの
ヴァルドラッハ村にあるベルトルト・マイヤー醸造所の娘さん
で、よく気のつくやさしい人である。余談だが、彼女の実家
の醸造所のワインも、素朴ながら充実した、ヴァルドラッハ
村の個性のよく出たいいワインだ。トリアーに来たばかりの
頃、ワインスタンドで初めて一本買ったのが、この醸造所の
ワインだった。笑顔を絶やさない素晴らしいご夫婦なのだ
が、残念ながら旦那さんの高齢と体調の悪化と後継者がい
ないのとで、ワイン造りもほとんどやめてしまっていると聞い
た。
(オーナーのヘルベルト・ヴァイス氏)

さて、話をボイルヴィッツ醸造所に戻すと、ここのワインの味は、頑固一徹なヴァイス氏の個性
に通じるところがある(ような気がする)。ニュアンスに富むというよりも、ストレートの直球勝
負。伝統的な棒仕立て、有機肥料重視、収穫は健全に完熟した房を選りすぐって、同じ畝から
数回に分けて収穫し、もっぱら果皮についた自然の酵母による発酵を、ステンレスタンクにて
行う。出来上がったワインはアロマも味も新酒の時からはっきりとルーヴァーのリースリングで
あることを主張して、はばかるところがない。この一徹さはアイスワインで特に見事に発揮され
る。その優れたものはアロマも味も濃厚で、余韻も永遠に続くかとも思われるほど長く、類を見
ないほど強烈である。ここのアイスワインに比べると、フォン・シューベルトのアイスワインは力
強さでは負けるものの、奥行きとニュアンスの深さ、フルーツのしなやかさの魅力は非常に素
晴らしく、忘れがたい印象を残す。同じルーヴァーのアイスワインであっても、それぞれに個性
的なのだ。


・試飲ノート

2002 Von Beulwitz Riesling trocken (1 Liter)
フレッシュな香りにレモンのヒント。まだ酸が強く、青いグレープフルーツ。ややシンプル。☆+

2002 Eitelsbacher Marienholz Riesling QbA trocken
クリーン&フレッシュな柑橘のアロマ、充実したミネラルの為フルーツの印象がやや硬く、がっちりして飲み応えがあ
る。☆☆

2002 Von Beulwitz Weissburgunder
フレッシュな柑橘にブルグンダー系のほのかにナッツぽい香り、濃い目で充実しており、アフタはやや短いがナッツ
ぽい香りが残る。☆☆

2002 Kaseler Nies'chen Riesling Kabinett trocken
おちついた柑橘香、濃くがっしりしているが、やや閉じている。柑橘、グレ
ープフルーツ、きんかんのヒント。なかなか素晴らしい辛口になりそう☆☆


2002 Kaseler Nies'chen Riesling Spaetlese trocken
ややあっさりした柑橘の香り、やや硬めでミネラルがしっかり、酸も未熟な
青い柑橘を思わせるが、濃い目のフルーツ感が全体をまとめている。☆☆

2001 Kaseler Nies'chen Riesling Kabinett trocken
(Versteigerungswein 2002)
明確かつ複雑、広がりのある香りに蜂蜜、ミネラル、ハーブのヒント。たっ
ぷりしたフルーツはグレープフルーツ、きんかん、緻密に編みこまれたミネ
ラル、酸味。複雑で調和がとれている、完成度の高い辛口。☆☆☆

2001 Kaseler Nies'chen Riesling Spaetlese trocken
やや控えめに感じる香り、しっかりしているが酸が少し浮いているような印
象。☆☆

2000 Kaseler Nies'chen Riesling Hochgewaechs trocken
開ききった香りにマルチパンにしみこんだアルコールの香り(アーモンド)、
熟成して調和のとれた快適な辛口、グレープフルーツのヒント☆☆
(7月6日のルーヴァーのリースリング。カールスミューレ醸造所の裏手の葡萄畑から、グリュンホイザーの畑をのぞむ)

2000 Kaseler Nies'chen Riesling Spaetlese trocken
しっかりした太い香りに熟成のヒント、濃い目で酸も太め、複雑な香りが口の中で広がり、楽しめる。ミネラルもしっか
り。☆☆+

1999 Kaseler Nies'chen Riesling Spaetlese trocken (Versteigerungswein 2000)
明るい金色。やわらなかな熟成したリースリングの香り。歳月を経て全てが一体となった感がある。たっぷりとしてや
わらかな、ふくらみのあるフルーツにグレープフルーツの苦味のヒント。☆☆+

2002 Von Beulwitz Riesling halbtrocken (1 Liter)
ややシンプルながら快適なバランス、グレープフルーツとミネラルのヒント。☆+

2002 Kaseler Nies'chen Riesling Spaetlese feinherb
クリーンでクリーミーな香りに、柑橘と蜂蜜、フレッシュなハーブのヒント。口いっぱいに広がるフルーツ、完熟したグレ
ープフルーツを口いっぱいにほおばったような感じ、口当たりのよい酸味がうまい具合に調和している。非常に快適
で魅力的な中辛口。☆☆☆

2002 Kaseler Nies'chen Riesling Kabinett halbtrocken
やや控えめな香り、グレープフルーツのヒント。濃いめで輪郭が丸く少し重い太いフルーツで、酸味は少し生な感じを
受ける。☆☆

2001 Eitelsbacher Marienholz, Guts-Riesling QbA feinherb
広がりのある明確なフルーツ香、黄色から青の柑橘、グレープフルーツの皮のヒント。調和のとれたフルーツ感、ほん
のりと熟成感がただよい、今が飲み頃。☆☆

2001 Kaseler Nies'chen Riesling Kabinett halbtrocken
ほんのりと熟成したフルーツ香に柑橘のヒント。細かな粒子がグラスの中で舞っているような香り。複雑で苦味とフル
ーツ感が調和している。アフタにミネラルが長く残る。☆☆+

2001 Kaseler Nies'chen Riesling Auslese feinherb (Versteigerungswein 2002)
完熟した柑橘の甘い香りにライムのヒントが少し。濃厚で複雑、やわらかな口当たり、うまみと甘みの混じったような
ニュアンスに富む風味、蜂蜜にグレープフルーツ、非常に個性的でおもしろい。☆☆☆

2000 Kaseler Nies'chen Riesling QbA Hochgewaechs halbtrocken
熟成香に消し炭と柑橘のヒント。熟成しかかっているがまだ若さを保っている。調和のとれた中辛口。☆☆

2000 Kaseler Nies'chen Riesling Spaetlese halbtrocken
軽く広がるスムースな香りに蜂蜜、ミント、栗のヒント。調和がとれていてやや軽めで繊細、しかし普通の醸造所なら
アウスレーゼとして通用する奥行きとニュアンスが感じられる。☆☆

1999 Kaseler Nies'chen Riesling Spaetlese halbtrocken
少し熟成しつつある広がりのある香り。輪郭が明確でしっかりしたフルーツ感にグレープフルーツのヒント、複雑。ミネ
ラルと果実味の見事なハーモニー。今が飲み頃。☆☆☆

1999 Kaseler Nies'chen Riesling Auslese halbtrocken (Versteigerungswein 2000)
少し閉じ気味で硬い印象を受ける香りに、はちみつ、きんかん、アーモンドのヒント。濃厚でたっぷりとしたフルーツ
に、丸い自然な苦味、グレープフルーツ、はちみつ、きんかんのヒント、アフタが長い。☆☆☆

2002 Eitelsbacher Marienholz Spaetburgunder Rose
そこそこ凝縮感の感じられる赤いフルーツの香り。イチゴ、ラズベリーのヒント、ややアルコール感がはっきりしすぎ
て、フルーツと分離している。モーゼルの赤としてはまずまず。☆+

2002 Kaseler Nies'chen Riesling Kabinett
ややひかえめであっさりした香り、青−黄の柑橘のヒント。甘酸の調和のとれた、比較的濃厚な、しっかりしたカビネ
ット。完熟したフルーツに熟した酸味が十分に練りこまれている。口の中で香り立つようなフルーツ感が素晴らしい。
☆☆+

2002 Kaseler Nies'chen Riesling Spaetlese *
クリーンに広がるフルーツ香、やや青さのあるグレープフルーツのヒント。濃いめでピュアなフルーツ感、蜂蜜、完熟し
た柑橘のヒント。フレッシュ・クリーン・アフタも長い。非常にきれいにまとまったアロマティックなリースリング甘口。
☆☆☆

2002 Kaseler Nies'chen Riesling Spaetlese **
クリーン、少しハーブのヒント、フレッシュなグレープフルーツの香り。濃いめで大柄なボディ、複雑で飲み応えがあ
り、残響ともいうべきアフタも豊か。グレープフルーツ、蜂蜜、ハーブのヒント、ミネラルに由来する苦味も多い。☆☆☆

2002 Kaseler Nies'chen Riesling Spaetlese *** Alte Reben (Versteigerung 2003)
フレッシュ・クリーン、すこし青草の香り。ピュアな完熟した柑橘のエッセンスに、はちみつ、グレープフルーツのヒン
ト、一見軽いようでいて実は緻密、アフタはあとから次第に強くなってくる。☆☆☆+

2001 Kaseler Nies'chen Riesling QbA
フレッシュ・クリーン・ややシンプルな香り、比較的濃いめで柑橘のニュアンスがはっきり。☆+

2001 Kaseler Nies'chen Riesling Kabinett
やや控えめな香り、ほんのりと熟成香のするフルーティな味、グレープフルーツに少し漢方薬のヒント。☆

2001 Kaseler Nies'chen Riesling Spaetlese
フレッシュ・クリーン、明確なグレープフルーツの香り。アタックに熟成感が出ている。白桃の甘み、とてもフルーティ。
☆☆

2001 Kaseler Nies'chen Riesling Spaetlese ***
フルーティというよりも、ピュアなエッセンス的甘みが印象的。☆☆+

2000 Kaseler Nies'chen Riesling Spaetlese ** (Versteigerungswein 2001)
少し緑の入った金色。香りはすっかり開いて複雑。軽く熟成香、柑橘、スパイスのヒント。フルーティで調和のとれた
味に、熟成のヒントがほんのり。綺麗な味。☆☆

2002 Kaseler Nies'schen Riesling Auslese
クリーンで少し青草、香草、蜂蜜のヒントがあり、アイスワインのニュアンスが漂う香り。口の中でも豊かに香りたち、
アフタも非常に長い。ハーブ、蜂蜜のヒント。見事なアウスレーゼ。☆☆☆+

2001 Kaseler Nies'chen Riesling Auslese ****
熟成して落ち着いた香り。濃いめで完熟した柑橘、蜂蜜、グレープフルーツの皮の苦味のヒント。エッセンス的な甘み
で、その一滴一滴が香りたつようなアロマの高さ。調和がとれており、アフタも非常に長い。☆☆☆+

1999 Kaseler Nies'chen Riesling Auslese ***
クリーミーだが、少し大人しい香り。太くしっかりした甘みのフルーツ感で、すこし舌の上で重く感じるほど。蜂蜜に香
草のヒント、アフタも長い。堂々としたアウスレーゼ。☆☆☆+

2002 Kaseler Nies'chen Riesling Eiswein
クリーンでストレートに立ち上る香り、蜂蜜、香草、野菜、紅茶のヒント。濃いめの香草と蜂蜜、凝縮した風味にすこし
野菜のヒント、長いアフタ。ここのアイスワインとしては普通。☆☆☆

2002 Kaseler Nies'chen Riesling Eiswein (Versteigerung 2004)
試飲しようとしたときにはすでに空で、せめてもと瓶の口から香りをかぐが、よくわからない。同行した友人は今回も
「おかわり」をしたそうで、「遅いからいけないんですよ」と言われてしまった。うぅむ。まったくもう。

2002 Kaseler Nies'chen Riesling Beerenauslese
これも友人に先を越されて、試飲できなかった。いちいちメモをとってたのが敗因のひとつ。

2002 Kaseler Nies'chen Riesling Trockenbeerenauslese (Versteigerung 2004)
これも空になっていたが、幸運なことにオーナーが大事をとって隠しておいたボトルがあり、試飲できた。ぎっちり詰ま
っている、濃厚な蜂蜜のエッセンスを煮詰めたような香り。緻密で濃密、猛烈に甘く猛烈に長いアフタ。舌に染みをつ
くりそうなほど強烈な甘みのエッセンス。寿命はおそらく100年以上だろう。☆☆☆☆


(2003年7月)




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