11月5日、トリアー大学学生有志による収穫作
業が行われた。前日まで続いた曇り空が、その
日の朝は嘘のように晴れ上がり、真っ青な空が
広がった。朝9時に3月から剪定などを体験させ
てもらっていたトリアーの町外れにある葡萄畑に
集合。鮮やかな紅葉の広がる爽快な冷気の中
で収穫作業が始まった。
朝露の光る収穫目前の
葡萄。
伝統的な背負い籠を背負った男子が
畝を歩いて周り、女子が収穫した葡
萄を集めて回る。中身を背負い籠に
開けるたびに、男子は跪いた姿勢を
とった。
葡萄をコンテナに背負い籠から開ける作業も、簡単なよう
でいてけっこう難しい。肩から斜め向こうに放り投げるよう
に籠をあけるのだが、角度を間違えると籠の底にたまった
果汁を頭上からかぶり、頭と背中がベトベトになるはめ
に。
作業は午前中で終わり、コンテナ7つがいっぱいなった。
85エクスレ前後の果汁は中辛口に仕立てられる予定で
ある。
11月2週目まで、収穫の山場は続いた。2004年は寒冷な夏に続い
て曇りがちな秋だったため、糖度の上昇も酸度の減少も非常にゆっ
くりとすすんだ。酸味がしっかりと乗って香り豊かな、典型的なモー
ゼルになる見込みである。
右上の写真を撮った丁
度5分後、突然氷雨が降
り出した。氷のように冷
たい滴に濡れながら、今
年の葡萄達が別れを悲
しんで泣いているような
気がした。
11月3週目の末には、殆どの区画で収穫が終わっていた。あれほ
ど生い茂っていた葉もすっかり散って、摘み残しの葡萄が秋の名
残を留めている。
ドイツの冬は寒いだけでなく、一日中
どんよりと暗い。摘み残された葡萄
のあるものは木の上で、あるものは
地上で腐敗していく。
アイスワイン用に収穫せずに残されている
一角。アイスワイン造りは賭けである。健全
な房もあるが、痛んだ房も多い。最低気温
が氷点下に達する日は珍しくないが、マイ
ナス8度まで下がらないと葡萄は凍結しな
い。健全な房が多いほど、引きしまった酸
味のアイスワインとなる。
(撮影2004年11月)