ドイツ最古の都市、トリアー。かつてローマ帝国の首都であったというその面影を、この町は各所に留めている。ポル
タ・ニグラ−ラテン語で黒い門を意味する遺跡は、現代に至る二千年近い歳月を破壊されることなく聳えている。大聖 堂(ドーム)、元老院議事堂(バジリカ)、皇帝浴場(カイザーテルメン)、そして円形劇場(アンフィテアター)。第二次 大戦中連合軍による二度の爆撃でその大半を灰燼に帰したものの、戦前の面影を彷彿とさせるまでに復元されてい る。
トリアーの駅からモーゼル河方向に10分ほど歩くと、ポルタ・ニグラの威容が現れる。ツーリスト・インフォメーションは
その傍らにある。ホテルを予約していない場合は、まずそこで部屋を探そう。トリアー市の主要な収入はワインと観光 なので人口10万人の小都市にしては部屋数は多いほうだが、リーズナブルな部屋に泊まるならインターネットであら かじめ予約しておいたほうがいい(www.trier.de)。町の中心部か駅の近くのホテルをとった方が便利だが、車の場合 はどこに泊まるにしても事前に道順をよくチェックしておきたい。市内は一方通行が多く、レーンを間違えると大回りし たあげく方向感覚を失くして道に迷うことになる。
(1)レストラン・居酒屋
モーゼル河の船着場近くの土手には、ツアラウベンZurlaubenと呼ばれる居酒屋とレストランが並んだ小道がある。
その中の一軒、『バガテッレBagatelle』(5)も良い。手ごろなのは前菜、メイン、デザートの3品で29Euroのコー スだが、ワインにも力を入れている。クリュセラート・ヴァイラー、ヨゼフ・ロッシ、フリッツ・ハーグ、フォン・オテグラーフェ ンなど地元実力派の他、アンジェロ・ガイヤなどイタリア・フランスワインもある。
この他トリアー市内とオレーヴィヒのお勧めは以下の通り。
・ヘルベルト・オーバービリヒ Herbert Oberbillig(6)
オレーヴィヒにある伝統的居酒屋。ワイン、料理ともにまずまずだが、こじんまりとした農家風の雰囲気が旅情をそそ
る。
自家醸造ビール『クラフトブロイ』が売り。ホテルが経営する比較的大きなレストランで料理もビールもそこそこいけ
る。
醸造所が経営する居酒屋。金土の夜のみ営業。葡萄の枝で焼いたヴィンツァーステーキ(葡萄農民風ステーキ)と本
業のワインが売り。中堅の意欲的な醸造所で、ワインの質は上々。リヴァーナー、ヴァイスブルグンダー、リースリン グの辛口とバリック仕立のシュペートブルグンダーはお勧め。葡萄畑の光景を素材にしたHPもなかなか。
・ヴァインヘクセ Weinhexe(9)
町の中心部から少し外れたところにある。陶製ストーブのある個人宅の居間の様な店内には、ルートヴィヒ・ブライリ
ング醸造所など地元ならではのワインが飲める。料理はチーズ盛り合わせ以外にも色々あるが、簡単なものが多 い。
・ダス・ヴァインハウス Das Weinhaus (Brueckenstr. 7)
2005年8月にオープンしたワインショップ兼居酒屋で、食事も出来る。モーゼルの代表的な醸造所をはじめ、ヨーロッ
パ各国のワインもそこそこ充実。カールマルクスハウスの真正面にある。ワインの価格は醸造所で買うのと同じ価格 なのがうれしいが、週末の夜は混み合う。Tel. 0651/170494
・マルクトハレ Markthalle Trier (14)
中央広場からバジリカ(元老院議事堂)へ抜ける細い道の中ほどにある、2004年秋に開店したレストラン兼食品店。
モーゼルはもとより他の生産地域の代表的醸造所もしっかりおさえてある。グラスでも14種類前後提供しており、食 事も出来る。良心的な価格設定がうれしい。スタッフも親切。
・クム・ヴィーノ Cum Vino
バジリカのはす向かい、かつてのフリードリヒ・ヴィルヘルム・ギムナジウム醸造所を改装、2006年オープン。ビショフ
リッヒェ・ヴァインギューター直営レストラン。
この他にもトリアーのHP(www.trier.de)のレストラン検索で"Wein"をキーワードにすると、色々見つかるだろう。
(2)トリアーでワインを買う
モーゼルまで来てワインを買わずに帰る手は無い。一番いいのは醸造所を訪れ、試飲して気に入ったら買うことだ。
幸い、トリアー市内にある4件の醸造所には試飲直売所がある。運がよければ、ケラーも見せてもらえるかもしれな い。
皇帝大浴場(カイザーテルメン)の近くにあるが、裏通りなので少し見つけにくい。事務所の一角に試飲カウンターが
あり、頼めば色々飲ませてくれる。ワインの質はホスピティエン醸造所に一歩ひけをとるが、71, 76, 89年の貴腐ワイ ンをリストに載せている醸造所はモーゼルでは他に無い。ちなみに、ここで醸造されるリースリングはカトリックのミサ に用いることが出来る。支払いは現金のみ、日本への発送は行っていないが、輸送用の梱包箱(PTZカートン)は売 ってくれるので自分で郵便局へ持ち込めばOKだ。
トリアー駅からも大聖堂からも歩いて3分くらい。個人的にはもう少し濃厚なら言うことはないが、クリーンなワインで
価格的にはお手ごろだ。まず呼び鈴を押して事務所に顔を出す必要があるので、ちょっと入りづらいかもしれない。支 払いは現金のみ、日本への発送も受け付けている。
2004年からビショフリッヘ・ヴァインギューターが管理運営を行っており、試飲直売もそちらで行っている。かつての直
売所は2006年夏にワインレストラン『クム・ヴィーノCum Vino』として再オープンした。
また、トリアー郊外のワイン村オレーヴィヒ周辺の個人経営の醸造所が毎週持ち回りの当番制で観光客を受け付け
ている。詳細はツーリストインフォメーションにて。
トリアーで上記の醸造所以外のワインを買うなら、以下の店がお勧めだ。
・ダス・ヴァインハウス Das Weinhaus (Brueckenstr. 7)
上記のワインショップ兼居酒屋。モーゼルの代表的な醸造所をはじめ、ヨーロッパ各国のワインもそこそこ充実。カー
ルマルクスハウスの真正面にある。ワインの価格は醸造所で買うのと同じ価格なのがうれしい。Tel. 0651/170494
・カウフランド Kaufland(16)
トリアー駅の中央出口を出て左手に見える建物の二階にある、大型安売りスーパー。ワインコーナーには日常消費
用の3〜5ユーロ前後のワインがそろっているが、10Euro以下のアイスワイン(れっきとしたラインヘッセン産のAP番 号つき)もここで買える。
買い込んだワインを郵送する場合、ワイン用梱包箱(PTZカートン)を醸造所で購入することをお勧めする。厚手のダ
ンボールで出来た外箱に、ボトルの本数だけ仕切りがついた梱包箱で、1、2、3、4、6、12本用がある。新聞紙を つめてガムテープでしっかり封をして、郵便局でもらう伝票にあて先を書き込んで窓口に送料(12本で82Euro)を添え て出せば、普通便(Economy)なら2週間くらい後に届く。ただし、夏場の発送はおすすめしない。
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