7月24日撮影。小さく固かった果粒はいつの間にかふくらんで、次第に葡萄の実らしくなってきた。





いずれも8月1日撮影。

左上:枝の脇から伸びたつぼみが、およそ一ヶ月遅れで咲いた。本来取り除くべき房だが、可憐に見える。

右上:粒の大きさとしては既に完成の域に達していると思う。

左下:房にはそれを取り囲む葉で光合成された糖分が蓄積され、熟していく。収穫まであと約2ヶ月。
(撮影2004年7・8月)






勢い良く枝を伸ばす葡萄は、夏を謳歌しているかのようだ。

掴る先を求めて虚空に
伸びた枝は、太陽を掴も
うとしているかに見え
る。

次第に膨らむ葡萄。撒布された農薬の跡が見える。

雨の多かった今年の問題は、黒腐病だった。中部モーゼルで3割前後の被害が広がったが、その他の地区では事態が深刻になる前に念入りに行った農薬散布の甲斐あってか、心配されたほどの被害はなかったようだ。左はノイマーゲン(8月下旬)、下はピースポート(8月中旬)の被害にあった葡萄。


撮影9月5日。収穫にむけて果皮はいよいよ薄くなっていく。

(撮影2004年8・9月)






今年の夏は比較的冷涼だった
が、8月末から9月20日頃まで、
モーゼルでは好天が続いた。心
配された黒腐病の被害も一部
に留まり、ほとんどの葡萄は順
調に熟し続けている。

9月上旬からモーゼルでもフェダ
ーバイザー−濁り新酒−が出
始めた。9月20日頃収穫のオル
テガの果汁糖度は75エクスレ
前後、ミュラートゥルガウは60エ
クスレ前後。圧搾後5〜8日目の
ものがほどよく甘みが残りつつ
ワインらしさも備え、観光客に好
まれている。
葡萄畑で見かけた昆虫たち。てんとう虫や蜘蛛は害虫を捕食する益虫だが、写真右下のダニや左下の蜂は、あまりありがたくない存在だ。もっとも蜂は受粉を手伝ったので、彼らはその報酬を受け取っているのだといえるかもしれない。このほか、野うさぎやイノシシも葡萄畑には出没する。熟した黒葡萄は彼らの大好物なので、葡萄農家は畑の周りにネットを張りめぐらして侵入を防ぐ。

太陽が傾くと、葡萄の表情も落ち着いて見える。果皮は黄色を帯び、わずか数時間で一層熟したかのようだ。
9月半ばを過ぎ、雨勝ちで寒い日が続くようになると、黴がついてしなびた果粒がちらほらと現れ始めた。貴腐なのかそうでないのかはっきりしないものもあるが、下の二つは明らかにボトリティス・シネレア−貴腐菌とも呼ばれる灰色黴のついた果粒。もっとも、リースリングの収穫開始まであと一ヶ月近くあるので、貴腐と呼ぶにはやや早すぎる。

(撮影2004年9月)

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